2018年9月13日 06:00
妻語る亡き翁長知事“死闘”の日々「僕の命沖縄に任せたい」
『きみたちにはできないことだから、これは自分でやるから』と言って」
死期を悟った夫の姿を目の当たりにしても、樹子さんは奇跡を信じた。あなたの死に場所はここじゃない――そう、夫にも、自分にも言い続けた。
「がんとわかったときにもね、いまはいろんな治療法もあるし。私は『東京でもどこでもいいから、いい病院を探そう』と提案したの。でも本人が反対したんです。『僕の命は沖縄の人に任せたい』って」
4月21日、知事は県内の病院で腫瘍の摘出手術を受けた。翌5月半ばの退院後も、抗がん剤治療などを続けながら、公務への復帰を目指した。しかし、その後も病魔は彼の体をむしばみ続けた。
7月には、辺野古沿岸部の埋め立て承認の撤回に向け、防衛省沖縄防衛局から弁明を聞く「聴聞」の実施を通知する方針を固める。7月27日、知事はその経緯を説明するための記者会見に臨んだ。
知事室からわずかな距離の会見場に入る前、廊下のいすで休んでいる姿を報道陣に目撃された知事は「外反母趾で歩くのがきつい」と答えていた。
「本当は違うんです。前日、県庁に行って撤回に向けた最後の打ち合わせをして公舎に帰ってきて。『ただいま』と言ってから玄関にあったいすに座って3分休んで。