2018年9月13日 11:00
対立した自民議員も涙…故・翁長知事の“沖縄愛”妻明かす
結婚以来、夫が漏らした初めての弱音に樹子さんは、「できるに決まってるじゃないの。何のために頑張ってきたの。あなたがやらないで、誰がやるの」と言って、すっかり小さくなってしまった背中を押した。
そして、それからわずか12日後の8月8日。知事は帰らぬ人になった。
「皆、わかってるんだ。皆、心の中では、わかってるんだよ」
翁長知事は亡くなる前、樹子さんによく、こう話していた。
「それぞれ皆、立場があったり目の前の生活であったり、事情があるから、辺野古のことも『イエス』や『ノー』、いろいろ言うんだ。
本当は心の中では皆、わかってるんだよ、樹子。沖縄の基地が未来永劫このままでいいなんて思ってるウチナーンチュ(沖縄の人々)は1人もいないよ」
闘病中の知事の「それはもう、口癖のようだった」と樹子さん。
「だからね、『本心では基地は嫌だ、なければないほうがいいに決まってるという沖縄の人々の心の中の声を引き出したい、そして沖縄の心をひとつにしたい』と、ずっと言ってたんです」
荼毘に付された11日の、ある弔問客のことを、樹子さんは少しだけうれしそうに振り返る。
「チャイムが鳴って誰だろうと思ったら、20代の若いお嬢さんが小さな花束を持って立っていたの。