『翔んで埼玉』魔夜峰央明かす「パタリロ“殺そう”とした過去」
住まいは、憧れた東京のような都会ではなく、のどかなねぎ畑に囲まれた一軒家だった。
「じつは編集長も、それよりも怖かった編集部長も家がすぐ近所でした。完全にだまされたんです!」
かくして“軟禁状態”を強いられながら、ただひたすら原稿に向き合う日々が始まった。
「1日12時間漫画を描いて、12時間寝て、12時間雑用をする。36時間だから計算が合わない。やっぱり埼玉は魔境なんでしょう。朝、味噌汁の具がないときは、近くの畑からねぎを引っこ抜いたりしましたね」
東京とは異なる時間の流れと、風景。そこで思いついたのが、『翔んで埼玉』だったのだ。
「でも、作品は3話で終了しました。所沢から横浜に引っ越したためです。住んでいない土地のことをちゃかすことはできませんから」
プライベートでは、ファンイベントに参加していた、当時高3だった芳実さんに“一目ぼれ”し、’84年に結婚。2児にも恵まれ、パタリロもわが子のように育てたが……。
「じつはパタリロを“殺そう”としたことがあります。’90年に連載が『花とゆめ』の本誌から別冊に移ったんですが、“左遷された”というような気持ちになって、やめようと思ったんです。