くらし情報『編集者・酒井章子「認知症の母、別人と思わなければ殺していた」』

2019年3月8日 16:00

編集者・酒井章子「認知症の母、別人と思わなければ殺していた」

彼女のためにしていることがすべて否定される。あのままの状態やったら、殺していたかもしれないですね」(酒井さん・以下同)

その“殺意”を抑えるきっかけとなるような出来事があった。

「あるとき、母の反応を見たいと思って、道に倒れて死んだフリをしてみたんです。そうしたら母は、『フン、死にやがれっ!』と吐き捨てて、スタスタと歩き出した。それで悟ったんです。『この人を、育ててくれた母やと思ったら、やってられない』って。それ以降、母を『マリリン』という別キャラだと思うようになりました」

すると、気持ちの切り替えが、うまくできるようになったそうだ。

「ここ数年は、足腰が徐々に弱くなって、トイレもひとりでできないように。
徘徊や暴言もなくなり、いまは“かわいいおばあちゃん”」

そう酒井さんは目を細める。長い介護生活を経て、“悟り”にも似たある境地に達したという。

「愛せなくなったら?いやいや、愛さなくていいんですよ(笑)。認知症ってわかってたって、腹立ちますって。だから我慢しないで、『うるさいな、黙っとき!』って言っちゃえばいいんです。どうせすぐ“忘れちゃう”っていう認知症の特性を、こんなときは最大限、活用させてもらえばいい。

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