年金価値が激減…マクロ経済スライドという“悪魔の仕組み”
10日、安倍首相は参議院決算委員会で「マクロ経済スライドによって、100年安心という年金制度ができた」と安全性を強調。この「マクロ経済スライド」こそが、北村さんの言う“悪魔の仕組み”そのものだという。
「かつて物価が上昇した場合、年金額も同じように上昇する決まりでした。ところが、マクロ経済スライドが発動されると、物価が上昇しても、年金の上昇が抑制されてしまうのです」(北村さん)
年金の上昇率が何パーセント抑制されるかは、被保険者の減少率や平均余命の延びによって決まる。現在の“調整率”は約0.9%。つまり、物価が1%上昇しても、年金額は調整率を差し引いた0.1%しか上昇しない。仮に、物価が毎年1%上がっていった場合、10年後には現在よりも約10.5%も物価が上がっていることに。しかし年金は0.1%しか上昇しないので、10年で1%しか上がらない。
その差が9.5%にまで膨れ上がるのだ。
「つまり、年金の価値が10年で約10%減ってしまうのです。金融庁の報告書によると、平均年金受給額は19万円ほど。そうすると、10年後の年金の価値は、現在の感覚でいうと、17万円ほどになってしまいます。そうなれば、赤字額は5万5千円では足らない。