くらし情報『端役人生70年!俳優・加藤茂雄さんと巨匠・黒澤明監督との絆』

2019年8月5日 11:00

端役人生70年!俳優・加藤茂雄さんと巨匠・黒澤明監督との絆

では岡本喜八監督と、きら星のごとき名監督たちのもとで芝居を続けた。なかでも、加藤さんが「この人は別格」と話すのが、あの黒澤明監督だ。

「僕は最初、黒澤監督の『生きる』でセリフをもらったんだ。市役所の下っ端職員の役だった」

出演者全員で台本を読み合わせる「本読み」。初のセリフがある役に、加藤さんは少々気負っていた。

「ほんの短いセリフのチョイ役だというのに、挙手して演技プランをぶち上げてね。黒澤監督や主演の志村喬さんも笑ってたと思うな。あれは、いま思い出しても恥ずかしくて汗が出てくるよ(苦笑)」

青くさい大部屋俳優を、巨匠は気に入ったのかもしれない。
’52年の『生きる』以降、立て続けに加藤さんを自作の現場に呼んだ。

「’54年の『七人の侍』では農民役で、有名な雨の中の死闘の場面に使ってもらった。でも翌年の『生きものの記録』では大失敗しちゃって。俺の俳優人生もここまでか、という思いが頭をよぎったよ」

主役の三船敏郎にバイクで速達を届ける郵便配達員という役どころ。ところが、加藤さんは無免許、バイクの運転も初めてだった。むかえた本番直前のテスト。緊張のあまり加藤さんは、停車するべき場所を誤ってアクセルを強くひねってしまう。

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