「脱北」経験ある日本人妻が明かす「私が北朝鮮を訴えた理由」
それができない限り、私の仕事は終わりません。まだまだこれからです」
斎藤さんが、こう考えるようになったのには、「北朝鮮帰国者の生命と人権を守る会」(以下、守る会)の名誉代表で、元・大阪経済大学准教授の山田文明さんとの出会いが大きかったという。
「山田先生は、北朝鮮に家族がいるわけでもないのに帰国者のために必死になってくれています。脱北者を中国まで迎えに行ったり、帰国者の働き口をつくってくれたり。先生がこれほど親身になってくれているのに、私たちが黙っているわけにはいきません」
大阪の八尾市に住む山田さんを頼って、近くに移り住む帰国者は多い。斎藤さんも、’09年に東京から大阪に住まいを移し、山田先生やほかの脱北者たちとともに、北朝鮮に残る日本人を救出してほしい、と訴えてきた。
そして昨年8月、斎藤さんらは、新たな行動を起こした。同じように脱北してきた日本人5人とともに、北朝鮮政府とその責任者、国務委員会委員長の金正恩を“国家誘拐行為”と“出国妨害行為”の罪で提訴。
損害賠償5億円を求めている(※)。
「飢え死にする人が1年に多数いる国なんです。その中には多くの日本人もいる。