野口聡一さんが語る3度目の宇宙挑戦「“今の自分”を見直す」
「宇宙で45歳の誕生日を迎えた前回は伸び盛りでしたが、54歳になったいま、筋力や動体反射などは劣ってきたかもしれません」
それでも宇宙飛行士は「つねにチャレンジの日々」だと語る。
「この職業の特徴は、ベテランでもずっと試され続けること。たとえば、ロボットアームの操縦や船外活動の訓練でも、新人と同じテストをさせられます。『若いころは上手だった』ではいけない。つねに『今が全盛』でなければいけないんです」
体が衰えていようと、若手と同じ「オーディション」を通過しなければいけないとは、なんとも厳しい世界。
しかし、野口さんは、「それがベテランの挑戦」だと力を込めて語る。
「挑戦することが減るということは、挑戦しなくてもいい人生になっているからだと思うんです。それは安泰な人生ではあるけれど、最高に充実したものであるとは言い切れないでしょう」
そして、その「50代の挑戦」は「なにも新しいことを始めなければいけないわけではない」そうだ。
「今までできたことを『今日できるのか』と確認することもまた、挑戦だと思うんです。『自分は今、なにができるのか、まだ走れるのか、宇宙船を操縦できるのか……』と、“現在進行形の自分”を確かめる。