元プロテニス選手が体験した「天皇ご一家“愛のラリー”」
陛下との交流が生まれたのは、’85年ごろ。テニスの聖地・英国ウィンブルドン大会でのことだった。佐藤さんは’73〜’88年、シングルス、ダブルス、混合ダブルスのいずれかでウィンブルドンに出場を続けた。予選を勝ち抜いての本戦出場は14回に上り、その年も本戦のコートに立っていた。
「試合のない日にセンターコートで観戦していると、外国人選手が『日本のロイヤルがいらっしゃっているよ』と、教えてくれて。畏れ多くもご挨拶に伺ったのです」
それが、オックスフォード大学にご留学中の陛下だったのだ。佐藤さんの母・典子さん(90)は、かつて皇居内にあるパレスクラブに入会し、美智子さまとプレーしたこともあった。
「美智子さまが、私のことを陛下に話してくださっていたようです。
『調子はいかがですか』と聞かれて『まあまあです』と答えると、『日本に帰ったら、一度、テニスをご一緒しましょう』と、陛下から言ってくださったのです」
まさか実現するとは思わなかったが、佐藤さんが一時帰国したとき、突然、宮内庁から電話があった。「御所でテニスをされませんか?」
以降、年に数回、定期的に陛下とテニスをご一緒するようになり、ご成婚後に雅子さま、現在では、愛子さまも加わられ、ご家族でテニスを楽しまれるようになったという。