元プロテニス選手が体験した「天皇ご一家“愛のラリー”」
「天皇ご一家とのテニスは毎回、とても楽しく、感謝の時間です。自分のために一生懸命向き合うテニス、若い世代に教えるためのテニスとはまた違って、和やかで、純粋な趣味としてのテニスを楽しめますから」
佐藤さんは、日に焼けた笑顔をキラキラと輝かせたーー。
現在、東京国際大学客員教授となった佐藤さん。研究室には、現役時代に獲得した数々のトロフィがズラリと並んでいた。同大学でテニスの指導を始めたのは、’11年。
お昼前には鮮やかなオレンジ色のウエアに着替え、コートに入って、男子学生を相手にボールを打ち始めた。引き締まった筋肉に衰えは見えない。得意なボレーも炸裂する。
「痛いところはいっぱいありますよ。右手の腱を1本切って、小指が上がらないから、テーピングとサポーターをしているんです。ケガ対策のために毎朝のストレッチや筋トレは欠かせません」
陛下のご家族とテニスをするときも、入念にストレッチを行い、準備する。ほかにも年齢を感じるのは、暗くなるとボールが見えにくくなったこと。
「お忙しい両陛下とのテニスは、夜の時間帯になることもあるんです。『もう、暗くてボールが見えません』と、私が言うと、雅子さまが『じゃあ、チャンス!』と、おっしゃられて引き続きラリーを……」