「“他人が許せない”は“脳の老化”」脳科学者が指摘
読者の多くが「私は正義中毒とは関係ない」と思うかもしれない。しかし中野さんは、現在8割の人が正義中毒化している、またはした経験があると考えているそう。
「年齢によるものもあるでしょう。加齢によって脳の前頭前野が萎縮すると、考え方が偏っていき、ますます人を許せなくなる傾向が強く表れるからです」
「昔はよかったのに……」「それは違う、○○に決まっているでしょ!」と、口にした覚えはないだろうか。
「脳の前頭前野は、分析的な思考や客観的な思考を促す部分です。ここが衰えると考え方が保守化して、『昔はよかった』に象徴されるような固定化された観念や偏見が強くなり、“許せない”感情へとつながっていきます」
“許せない”はつまり“脳の老化”でもあるのだ。ということは逆に、許せる人になることが老けない脳をつくる、ともいえないだろうか。
「脳の老化抑制のためには、『メタ認知』がカギをにぎります。
メタ認知とは、自分を客観的に認知する機能のことで、脳の前頭前野の働きが保たれていることが必要となります」
そのためには、ふだんの習慣にないことを意識して行うのが効果的だという。
「たとえば、通勤や散歩のときにいつもと違う道順で歩いたり、食事のときにふだんはあまり使わない食材を使ったり、作らないメニューに挑戦してみる。