くらし情報『貧困支援「もやい」理事長は33歳 10年間対峙した困窮の現場』

2020年6月1日 11:00

貧困支援「もやい」理事長は33歳 10年間対峙した困窮の現場

以来、大西さんは毎週の炊き出し、それに路上生活者の様子を見て夜の街を歩く、夜回りに参加するようになった。

「そうやっていくうちに当然、仲よくなるじゃないですか。それまでは、見ず知らずの野宿してる誰かだったのが、名前を覚えたり、あちらが僕を認識してくれたり。そうなると他人とはいえ、彼らの困り事が他人事じゃなくなって」

炊き出し、夜回りだけに飽き足らず、役所へ生活保護申請に同行するなど、多くの路上生活者の相談に、個人的に乗るようになった。

「2010年後半から2011年は、めちゃくちゃたくさんの人の相談に乗りました。生活保護の申請同行も年間で百数十人。自慢でもなんでもなく、たぶん日本でいちばん多かったと思います」

しかし、当時の大西さんは依然としてフリーターの身。個人でやれることの限界も感じていた。
そんなとき、支援活動の大先輩で、もやいの設立者でもある稲葉剛さん(51)から連絡があった。人員が減ってしまったもやいを「手伝ってほしい」という依頼だ。それをきっかけに、大西さんはもやいに参加。翌2012年からは同NPOの有償スタッフとなり、2014年には理事長に就任。肩書は少し偉くなったが、熱い気持ちは、あの初めての炊き出しのころのままだ。

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