現在価値で8.5万円減も…“統合”で懸念される厚生年金の未来
で、国民年金の厳しい状況が浮き彫りになった。
「財政検証とは、厚生労働省が5年に1度行う、年金財政の健康診断のようなもの。将来、現役世代の男性の平均手取り収入額に対して、モデル世帯の夫婦の年金給付額がどのくらいの割合になるのかを示した“所得代替率”の未来予測が検証されています」(平野さん)
現在の現役男子の平均手取り額は35万7,000円とされている。厚生年金に40年間加入していた夫と、専業主婦の妻というのがモデル世帯。現在の所得代替率は61.7%で、夫婦の年金額はおよそ22万円となっている。
しかし、国民年金加入者が受け取れる基礎年金に限れば、現在でも所得代替率はわずか36.4%、夫婦で約13万円に過ぎない。
「財政検証では、経済成長率、物価上昇率などを加味して6つのシナリオが示されています。もっとも平均的なケースでも、’40年度の基礎年金の所得代替率は29%になる見込みです。
現在の平均手取り額から試算すると、国民年金のみを受給している夫婦は、わずか月額10万3,500円で生活しないといけない」
しかも、これは夫婦ともに40年間保険料を欠かさずに払い続けた場合の給付額。未納期間があれば、この金額には届かない。