2020年9月9日 15:50
料理研究家・クリコさん“介護食のプロ”の原点は夫の闘病
長年連れ添い、紆余曲折を経ながら、最後は「夫を介護する」という試練と向き合うことになった妻たち。そのとき、夫に何を思うのか。きれいごとだけでは片づけられない複雑な思いを超え、見えてきた「夫婦って何?」の答えに、耳を傾けましたーー。
■クリコさん(60・料理研究家、介護食アドバイザー)
「病気には負けない。料理研究家のはしくれとしてやってきた私が、この人を必ず元気にしてみせる」
’10年5月。結婚20年を目前に、3つ年上の夫・章男さんに肺がんが発覚したのは、くしくもクリコさんの50歳の誕生日当日だったという。
「人生の節目を迎えてこれからの期待で胸いっぱいの日に、夫本人からステージ3のがんと告げられ、血の気がスーッと引きました」
肺がんの手術は終え職場復帰も果たしたものの、翌年10月には早期の食道がんが、その1カ月後にはステージ3の口腔底がんが発覚。
食道がんが早期だったため、まず口腔底がんの8時間に及ぶ大手術が行われた。
残ったのは、左奥歯1本だけとなり、体重も一気に7キロ減っていた。
「とにかく早く体重を戻し、体力を回復させて、食道がんの手術を実現させなければなりませんでした。