公的資金で株高を演出 嘘と失敗ばかりだったアベノミクス
「アベノミクスは買いだ」
世界にそう喧伝していた安倍晋三首相。だが、8月28日の辞任会見で「アベノミクス」という言葉は最後まで使わなかったーー。『アベノミクスの終焉』の著書がある同志社大学商学部の服部茂幸教授が話す。
「アベノミクスが中途半端で終わったことを表しています。アベノミクスは、日本銀行が国債をたくさん買い入れることにより、市中に大量の通貨が供給され、金利は下がり、企業活動が活発化。物価の上昇とともに賃金も増え、消費も拡大すると謳っていました。その景気回復へのシナリオはすべて頓挫したのです」
7年8カ月も続いた第2次安倍政権の根幹政策だったアベノミクス。その実態を検証しよう。
■公的資金で株高支える
安部首相は株価上昇を理由に、景気回復を強調するが……。『ツーカとゼーキン知りたくなかった日本の未来』の著者である弁護士の明石順平さんはこう語る。
「新型コロナウイルスの影響で経済が大きく低迷しているのに株価がまったく下がっていないのは、日銀と年金という公的マネーで買い支えているからです。年金積立金を管理・運用しているGPIFは、’14年に資産運用割合を変更して、大量に年金資金を株式市場に投入しました。