学術会議問題 政府が連発する「総合的、俯瞰的」の本当の意味
(2018年内閣府文書)が理由とされてきた。
つまり、候補者を学問的に評価する能力は、首相にはなく、日本学術会議にあるという立場を政府も取ってきたのだ。にもかかわらず、日本学術会議が優れた科学者であり会員としてふさわしいと判断した6人の候補者を、首相が一方的に学術会議の「総合的、俯瞰的な観点」を損なうような、科学者としての資質に欠けた人物であると評価することは許されるのか。そもそも首相はそのような“学問的な判断”を下す能力や権限を有しているのか。疑問は尽きない。
■6人にある唯一の共通点
政府が乱発する「総合的、俯瞰的」という言葉。政府側は詳細な説明を避けるための“便利な言葉”として使っているように見える。首相は個別の人事の詳細については明かせないというが、過去にしっかりと意味が定義づけられた言葉である以上、どのような人物が会員になると日本学術会議の「総合的、俯瞰的活動」が妨げられるのかを、今後のためにも明確にする必要があるだろう。
少なくとも任命を拒否された6人の学者にそのような共通点は見られない。唯一、見られる共通点は、過去に安倍政権の政策を批判したことがあるということだけである。