なぜ“食の安全”への脅威?「種苗法改正」山田元農水相が解説
』といった企業に」
実際にインドや中南米では30年ほど前に同じことが起こっている。
「別名“モンサント法案”と呼ばれた自家採種禁止法案が可決され、農家は種子を毎年、多国籍企業から購入せざるをえなくなった。そのうえ農薬と化学肥料もセットで売りつけ、莫大な利益を得ようとしたんです。しかし、この法案は成立したあとにコロンビアやメキシコなどで農民の暴動が起きて、次々に廃止されました」
じつは政府も、種苗法改正の目的は、企業にタネを渡すことが目的だと認めているという。
「『農業協力支援法』という法律に『これまで国や県の農業試験場が管理していたタネの知見を民間企業に提供せよ』といったことが明記されています。この民間企業には『バイエル』のような海外の企業も含まれます」
農業協力支援法とは2018年に廃止された「種子法」の代わりに作られた法律だ。
「コメ、大豆、麦などは国民の命をつなぐ大切な食料だとし、農家が安定して安く作れるように、その種子は国や県が育成・管理することを義務づけていたのが、種子法です。この法律のおかげで『コシヒカリ』や『ゆめぴりか』といったおいしいお米ができました。
しかし政府は、企業の農業への参入を促進するためという理由で、種子法を廃止。