くらし情報『20歳で中学に…アイヌ解放に尽力の宇梶静江さん語る学生時代』

2020年12月21日 11:00

20歳で中学に…アイヌ解放に尽力の宇梶静江さん語る学生時代

20歳で中学に…アイヌ解放に尽力の宇梶静江さん語る学生時代


「最近はね、体悪くしたこともあって、刺繍はぜんぜんやれてなかった。早くまた毎日、刺繍ができるまでに、体調を戻したいなと、そう思ってるところなの」

彼女はこう言って苦笑いを浮かべた。「最近はやってないから」と言いながら、それでもじつに手際よく、次々と布に針を刺し糸を通していく。そのスピードと、美しさに記者が見とれていると、彼女はもう一度、にっこりとほほ笑んでみせた。

彼女は宇梶静江さん(87)。明治期の北海道が舞台の人気アニメ『ゴールデンカムイ』。ヒロインのアイヌの少女「アシリパ」(リは小文字)が、さまざまなアイヌ文化を紹介するのがヒットの一因だ。そして、北海道生まれの静江さんも、アシリパと同じように民族の文化や伝統を大切にしてきた、アイヌである。


静江さんは古い布の上に、民族に伝わる叙事詩『ユーカラ』のいくつものシーンを、伝統的な刺繍の技法で描く「古布絵」の作家として、また詩人として、国内外に名をはせている。一方で長年、アイヌの解放運動にもたずさわってきた。

長年、不当な差別に苦しめられてきたアイヌの人々。静江さんも子供時代を振り返りながら、苦々しい表情を浮かべた。

「あのころ、差別という言葉がない時代の差別ほど、恐ろしいものはなかった」

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