2020年12月21日 11:00
20歳で中学に…アイヌ解放に尽力の宇梶静江さん語る学生時代
それが昨年、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律(アイヌ新法)」が施行され、日本政府はようやく正式に、アイヌをこの国の先住民族として認めた。今年の夏には北海道白老町に、博物館や慰霊施設などからなる「ウポポイ(民族共生象徴空間)」も開業。先述のアニメの人気も含め、多くの人がアイヌに注目し、彼女らを取り巻く環境も変化してきているようにも思えるのだが。
ウポポイについて記者が尋ねると、静江さんは刺繍の手を止め、大きなため息を一つついた。
「中身はなにもないです。あれは、アイヌのための空間ではない。和人の理想の、和人が作った和人のための施設だと思います」
政府やアイヌ以外の人を「和人」と呼んだ。そこに長年、差別や偏見と闘ってきた彼女の怒りと悲しみが、にじみ出ているようだった。
「(子供の頃、)犬を飼ってる家の前を通ったら、そこの子が犬を私にけしかける。ほえる犬が足元まで来て、私がおびえると、その子の親は止めることもなく笑って見てる……そんないじめは日常茶飯事でしたよ。小学校では、先生からアイヌの子には目をかけなくてもよろしい、というおふれがあったようですね。