4月から中小にも導入「同一労働同一賃金」で懸念されることは
(笹山さん)
禁じられる不合理な待遇差とはどういうものか?
「’20年10月に3件の最高裁判決があり、住居手当や扶養手当、皆勤手当などその趣旨が正規非正規関係ないことがハッキリしている手当などに格差を設けるのは違法と判断されました。一方で、基本給やボーナス、退職金は、正規と非正規で制度設計が異なるために職務や配置などに応じた格差は認められうる。非正規への不支給や格差が違法になる場合もあるとされましたが、それは職務などから不合理といえる場合という解釈です」
新たに、コロナ禍で問題になっている待遇差は、テレワークに関するものだと、今野さんが話す。
「契約や派遣社員の方から、“テレワークをさせてもらえない”という相談が増えています。同じ部屋の正社員がテレワークに移行しているのにもかかわらず、出勤を命じられ、正社員が在宅でできない仕事を代わることを提示されているというのです。4月からはこのような待遇差はより明白に違法となり、裁判になれば会社側が損害賠償を払うことになる可能性もあります」
非正規労働者には、格差是正の第一歩になるはずの同一労働同一賃金だが、こんな懸念が……。
「通勤手当や皆勤手当なども非正規労働者に支払うべきことが明白になるため、負担が大きく中小企業にのしかかります。