蛭子能収支えた妻が語る「夫が認知症に。やっと夫婦になれた」
そのうち認知症の症状がひどくなり、離婚どころの話ではなくなりましたけどね」
悠加さんがまぶしそうに空を見上げながら、さらにこう続ける。
「でも、しっかり睡眠を取れるようになり、ひざの治療にも行けるようになり、心に余裕ができたのかもしれませんね。今なら、よっちゃんのことも理解できます。離別ではなく死別でしたからね……。それに認知症が進行していくにつれて、亡くなった奥さんの存在が主人のなかで薄まってきたのかもしれません……。いずれ、私のことも忘れていくかもしれません。でも、認知症になって、ようやく夫婦になれた気がします」
悠加さんは前妻をライバル視していたわけではない。蛭子さんが運転できたころは、月に一度の墓参りに欠かさず付き添い、その後も、近くの大師で毎月、護摩供養をしている。
ただ、悠加さんはいない相手と闘っていた。理想の妻になる。いや、ならなくてはいけない──。蛭子さんの認知症は、そんな悠加さんの呪縛を解き放したのかもしれない。「女性自身」2021年5月11日・18日合併号 掲載
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