くらし情報『憲法学者・木村草太「コロナの失政を憲法のせいにするな」』

憲法学者・木村草太「コロナの失政を憲法のせいにするな」

(木村さん、以下同)

下村氏の発言をバッサリ切り捨てたうえでこう語る。

「例えば、アメリカ憲法では、大統領は原則として議会を招集する権限を持ちませんが、緊急時には議会を招集できるとしています。一方、日本国憲法は元々、内閣の国会召集権を認めていますので、緊急時に首相は国会を召集し、法案を提出して国会の議決を取ることができる。緊急事態に対応できる権限は、現行憲法でも、すでにある程度与えられているんです」

そもそも、政府は自らに与えられた権限を適切に行使してこなかった。東京五輪の実施にこだわって感染拡大下でも入国制限をなかなか行わなかったし、検査体制の拡充やワクチン確保も後手後手になっている。防疫のための法律の整備も遅々として進まなかった。

「政府が真剣にコロナ対応と向き合っていれば、より大胆で踏み込んだ対策や立法ができたはずです。それなのに安倍政権も菅政権も、延長を求める声を無視して国会を閉会したり、臨時国会もなかなか開かなかった。
特措法がようやく改正されたのは今年2月です。その怠慢や失策を棚に上げ、『憲法改正』を持ち出せば国民をごまかせると思うこと自体、極めて不真面目な態度と言わざるを得ない」

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