2021年6月3日 11:00
「重症化しやすい可能性も」阪大教授語る“悪玉抗体”の存在
重症化のトリガーとなりかねないだけでなく、日本でも日夜接種が進んでいるワクチンにも不安をもたらしかねない要素が……。
「この感染増強抗体がいくら産生されても、中和抗体が十分にあれば全く働きません。今使われているワクチンの接種では中和抗体が十分に作られるので、感染増強抗体は機能しません。ですので、感染増強抗体を持っている、いないにかかわらずワクチンを打った方がいいでしょう。
現時点のワクチンはインド株も含めて、中和抗体が十分に作られることはわかっています。ただ今後、さまざまな変異株が現れて、中和抗体が作用しないという場合、感染増強抗体だけが残る可能性もあります」
■悪玉抗体活用で重症者を事前に検査できる可能性も
これだけ聞くと、ますます新型コロナの脅威が高まるばかりのようだが、「感染増強抗体」の発見は“希望の光”でもある。
発展途上の日本のワクチン開発の一助になりうる未来を荒瀬教授は指摘する。
「新たな変異株で感染増強抗体のほうが強く働くことが起きた場合、感染増強抗体を増やさないワクチン開発が必要になることもあるでしょう。
今回、明らかになった感染増強抗体の認識部位を改変することで、中和抗体の産生のみを特異的に誘導するワクチン開発が可能になるかもしれません」