2021年12月22日 15:50
映画監督・安藤桃子さん「父・奥田瑛二がくれた“親の七光り”は『超貧乏暮らし』でした」
■父の背中の映画にかける“本気”を見て、「映画監督になります」と宣言
父の奥田さんは、俳優のキャリアとしては、伝説のトレンディドラマ『男女7人夏物語』(’86年)出演などで“当代きってのモテ男”といわれ、芸能界の真ん中を歩いてきた。
「ブイブイいわせていた」当時は、よく泥酔して朝帰りしていたという。
桃子さんは「家庭や日常生活に『役』を持ち込む」父の背中をみて育ってきたのだ。
「仕事も、遊びも、私たちを叱るときもつねに、父は“本気”だったんです。その姿を見て育った私が、そこに感じたのは“愛”そのものでした」
その言葉通り、桃子さんは父が紡ぎ出す作品や仕事ぶりに“愛”を感じ取っていく。
’01年、父の初監督作品『少女』の1カ月にわたる欧州各国プロモーション活動に参加した後のこと、飛行機の客席で、父の演じた主人公の切ない顔が思い浮かんで「涙がこぼれ始め、嗚咽に変わってしまった」という。
「監督としての父の背中を目撃して、初めて心底、父を尊敬した。そしてその数カ月後、父に勇気を出して『映画監督を志します』と宣言しました」
奥田さんは「わかった」と一言だけ発したのだという。
思うに父・奥田瑛二の「七光り」