2022年4月7日 06:00
コロナで肺炎疑いの乳児が入院できず死亡…遺族が悲惨な医療現場の実態を告発
「兄は『アーアー、ウーウー』などという表現でしか気持ちを伝えられませんが、いつもニコニコして穏やかなんです。でも、その日は様子がおかしい。触れると熱いので体温を測ったら40.4度もあって」
雄偉さんは救急車を要請し、市立静岡病院に搬送された。PCR検査を受け「30分ほどで結果が出る」と言われ2人で陰圧室で待ったが、1時間たっても誰も来ない。
「兄は持参した水を飲み干していたのに、水ももらえなくて。不安から自分の腕をかんだりする自傷行為をし始めていたんです」
雄偉さんは「誰か来て!」と2時間ドアをたたき続け、助けを求めた。医師や看護師と目が合ったが、みんな通り過ぎていった。ようやく医師が「陽性」と告げに来たが、診察は一切ナシ。
「パルスオキシメーターの値が正常」だからと、解熱剤だけ渡され、帰宅を促された。「パルスオキシメーターは、兄が1秒もたたずに外してしまったから測れていないはず」
後日、病院に数値を確認すると、「94%かな、95%かな」と曖昧な回答が返ってきたという。
■ずさん対応の元凶は厚労省のガイドライン
「だーだん(大眺さんの愛称)、早くよくなるといいね――」
自宅に戻って数日間、雄偉さんは、そんな声かけをしながら大眺さんのそばで看病を続けた。