2022年6月23日 06:00
“浸水リスク地域”の人口が急増ーーその背景にあるものは?
そこで、市街化を進める市街化区域と、原則開発を抑制する市街化調整区域とに分ける制度が、1968年にできました」
開発が想定されていない市街化調整区域には、農地や緑地などが多く含まれる。基本的に宅地として活用はできないが……。
「農家の次男、三男などが分家し、家を建てることは認められるなど、例外はありました。市街化調整区域でも人口が増加していくケースもあったのです」
■地価も、都市計画税も安いが……
市街化調整区域の開発が一気に加速したのは、2000年ごろからだと語るのは、長岡技術科学大学准教授の松川寿也さんだ。
「1999年の地方分権一括法により、都市計画を含め、まちづくりのルールは、国から地方へ委ねられるようになりました。その一環で、2000年に都市計画法が改正され、自治体の条例で市街化調整区域に新たな宅地を建てることも可能になったのです」
地方の権限を強めることで、地域の実情に即した開発ができるようになったが、負の作用もあった。「少子高齢化が進むような地方都市の中には、人口流出で税収に苦しむケースも少なくありません。人口流入を促せば、税収も確保できる。
そこで注目されたのが、市街化調整区域の宅地開発です」