2022年8月7日 06:00
【御巣鷹山から37年】遺族の闘い「裁判に勝って、すべての真実を明らかに」
「医師から『手術が必要。外出は禁止』と言われてしまいました」
かねて吉備さんは判決を見届けようと上京のためのトレーニングをしていた。
それは、自宅近くの坂上にある夫のお墓への日参。
「朝4時起きで、往復1時間かけて歩いていました。そうしたら股関節に無理がかかってしまい、夜も痛くて眠れなくなって……」
裁判では生データ開示を求めているが、被告は過去の新聞記事を証拠に「仮に情報提供義務があるとしても、すべて和解しているため義務は生じない」の一点張り。8月12日、37回目の命日にはまだ、判決の報告はお預けとなる。
「きっと日航は、はやく私が死ねばいいと思っているでしょうね。
でも、絶対にくたばりません。
事故以来、主人のために泣けていないんです。主人がそばにいなければ、私は安心して泣けない」
そうして吉備さんは携帯ストラップの雅男さんの写真を見つめた。
遺影の威厳ある表情に比べると、髪を刈り上げ、より精悍な若き夫。
「主人の右手が見つかったとき、私は『やっと家に連れて帰れる』と狂喜しました。
でも姉が『なんで喜ぶの?雅男さんが、亡くなったってことなのよ』と。
頭から冷水を浴びせられた思いでした」