2022年12月4日 06:00
最後の“銀座の花売り娘”81歳。作家・伊集院静さんとの路上での“対決”
「僕は40年前から銀座で飲んでいるけど、昔の銀座は、“銀座村”という感じだったね。京都でいうなら祇園のようなところで、財布を持つ必要がなかった。締め日に請求書が届くだけ。調子に乗って、バブルのころは月1億円の請求がきたよ(笑)」
清武さんによれば、バブルのころは、店のホステスの管理などをする「黒服」や、車の手配や客の荷物持ちをする「ポーター」といった銀座の裏方たちへのチップは、1万円が相場だった。それがいまでは3千円や1千円が当たり前になっている。
「昔の銀座は粋だったよ。いまはキャバクラやパチンコもできて、もうぐちゃぐちゃ。このごろでは客筋も全然違うね。
銀座が銀座でなくなった。いつからここは戸越銀座になったんだって(笑)」
花があまり売れなくなった木村さんと会うと、清武さんはこんな言葉をかける。「とりあえず10時半か11時までがんばれ。それでも売れ残っていたら、俺が全部買うから」
銀座のそんな人情にも木村さんは支えられているのだろう。10年前に初めて木村さんから花を買ったという上場会社役員の赤城蘭丸さん(仮名)も、そんな一人だ。
「ちょうど家に花を飾りたい時期だったんですよ。