2022年12月8日 11:00
出生数80万人割れの衝撃!「将来の年金の減額は避けられない」と専門家
■年金シナリオはコロナ禍を想定せず
私たちの老後の生活を支える年金。急激な少子高齢化によって、どんな影響を受けるのだろうか。
「目安の一つになるのが、厚生労働省が5年に一度行っている、年金財政の“健康診断”ともいえる『財政検証』です」(北村さん)
そこでは、「所得代替率」を用いて、将来の年金額を算出している。
「所得代替率とは、現役男子の平均手取り収入額35万7千円に対するモデル世帯の年金受給額の割合のことです。2019年のモデル世帯の年金額は約22万円。所得代替率は61.7%になっています」(北村さん)
財政検証では、今後の経済状況を“もっともよい”ものから、“もっとも悪い”ものまで、6のシナリオに分けて、将来予測している。最新の財政検証は2019年のもの。平野さんは発表時から一貫して経済状況がもっとも悪いシナリオが、“最大値の予測”だと訴えてきた。
「国のシナリオは、新型コロナウイルスのパンデミックや、自然災害、原油価格高騰、ウクライナ情勢など、現在、大きな問題となっているようなリスクを、まったく考慮していないものです」
景気の予測だけではなく、出生率の見通しも甘かった。