2023年1月22日 06:00
「弟はなぜひとりで死んだのか?」コロナ放置死遺族の真相を探る旅に密着
弟の死後初めて沖縄の地を訪問した高田さん(写真:今泉真也)
唯一の肉親だった――。誰よりも沖縄を愛し、大阪から沖縄に移り住んだ最愛の弟は、新型コロナウイルスによって、自宅で誰にもみとられることなく亡くなってしまった。
なぜ、弟は孤独に死ななければならなかったのか?なぜ、患者と音信不通になった場合に、連絡を取るという行政のルールは守られなかったのか?そんな疑問から「自宅放置死遺族会」を立ち上げた女性が、弟の死から1年3カ月、初めて沖縄の地を訪問したーー。
「弟が他界してから1年3カ月たって、ようやくこの地、沖縄に足を運ぶことができました。本当はもっと早く来て、皆さんにご挨拶すべきだったんですが、正直、弟がいない沖縄を訪ねるのが怖かった。弟を温かく送ってくださった皆さんには、なんてお礼を言ったらいいか……」
2022年11月29日。沖縄県那覇市のとある飲食店で、亡き弟の友人たちを前に、そう言って涙ぐむ女性の姿があった。高田かおりさん(48)だ。
高田さんは、コロナに罹患しても医療にかかることができず、自宅で死亡した人の遺族でつくる「自宅放置死遺族会」(以下、遺族会)の共同代表のひとり。