2023年1月22日 06:00
「冷たくなった息子を心臓マッサージした父」コロナ放置死遺族の悲哀
「父が心臓マッサージをしても、兄が再び目を開けることはありませんでした。父は今でも〈かわいそうなことをした〉と自分を責めているんです」
東京都在住の40代男性は、コロナ禍当初の2020年4月、父(享年85)を亡くした。
「父は、マラソン大会に出場するほど元気でした。しかし、コロナに感染した当初から39度台の熱が出て意識もうろうに。救急車で運び込まれた病院でPCR検査を受けるも、〈結果が出るまで入院はできない〉と自宅に帰されたんです」
不運だったのは、当時PCR検査の結果が出るまでに6日も要したことだった。
「保健所や病院に入院させてほしいと頼んでも、〈検査結果が出るまではできない〉と言われ、父は私の目の前でどんどん衰弱し、水さえ飲めなくなっていきました」
陽性判明後は入院できたものの、医師は開口一番こう言った。
「遅すぎた。肺が真っ白です。
もう少し早く入院できていたら」
男性が「人工呼吸器を付けてほしい」と土下座して頼んでも「一度付けたら、なかなか外せない」と断られ、父は帰らぬ人に。「二度とこんな思いをする人を出したくないんです」と男性は語る。
遺族会ではこのように、入院要請しても断られ、自宅放置された結果、手遅れになり、入院先の病院で亡くなったケースも“放置死”と定義している。