「わが家よりもここで死にたい!」“看取りの家”「ぽらりす」代表・岡田美智子さん
と呟いた。
「もう、そんなこと言わずに、もっと食べたらいいじゃないのよ。私、巳年だからしつこいんだぁ。いらないなんて言いながら、口元に持っていったら食べるんじゃないの……、ほうら、口が開いた。あなた、『いらない』って言ったの、もう忘れてるでしょうよ(笑)」
セチコさんの食事介助が一段落すると、岡田さんはそのまま、入居者たちが食卓を囲む食堂に。
「もう、ごちそうさんでいいの?もう少し食べて。そんな痩せっぽちじゃダメでしょうよ」
箸が止まっていた女性入居者・マルちゃん(86)に、早速声をかける岡田さん。次いで現在、唯一の男性入居者であるクニオさん(71)のそばに立ち、顔をのぞき込むようにして話しかけた。
「うん、上手だな。今日は上手に食べられてますね」
クニオさんは「えへへ」と照れ笑い。そのやりとりに女性入居者・キクエさん(86)が口を挟む。
「あんまりいい女見っと、興奮しちゃって、またこぼしちまうぞ」
彼女の言葉に岡田さん、相好を崩し、おどけて見せる。
「あら、ごめんなさいね〜。見えないように後ろに立つわね〜」
開業以来の住人で、ぽらりすの生き字引的存在というキクエさん。岡田さんが笑いながら補足した。