2023年4月20日 06:00
「地方医療の充実費」「未来への投資費用」…防衛費に転用される血税たち
岸田首相は防衛費を対GDP比2%に引き上げる方針を決めた。現行の5年27兆4000億円(2019年~)の防衛費が、43兆円(2023年~)に増額される予定だ。岸田首相は不足する予算を余剰金の活用や歳出改革、増税などで賄うとしている。
すでに防衛費に回されることが決まっている予算のなかには、私たちの生活や健康を守るためのお金も多く含まれる。
たとえば、全国で140の病院を運営する国立病院機構(NHO)の積立金の一部(422億円)と、全国57の病院と26の介護老人保健施設などを運営する地域医療機能推進機構(JCHO)の積立金の一部(324億円)も防衛費に転用される。鹿児島大学教授で社会保障法が専門の伊藤周平さんはこう語る。
「地域医療を担う病院には、老朽化しているケースも多くあります。またコロナのパンデミックによって、エクモなどの機器の必要性や、それを扱うスタッフが足りないこともわかりました。
まず、どれほどの設備投資や人材育成費用が必要なのか議論したうえで、積立金の使い道を考えるべきです」
仮に積立金が“余った”としても、JCHOは年金保険料で設立された経緯があるため、本来は年金特別会計に返納される決まりだった。