石川ひとみさんのデビュー45周年秘話「『まちぶせ』は引退前提の歌でした」
レッスン生は事務所の先輩の曲をレッスンで歌うのが慣例だったのだ。
「当時は『まちぶせ』をまったく知らなくて。でも、先生が『この曲をやります』ってピアノで弾いて教えてくれたときに、なにか胸が熱くなり、『この曲いいな』と思いました。それでそのレッスンの帰りにレコード屋さんに行ってすぐに『まちぶせ』を買いました。そこから毎日のようにレコードをかけて、好きで歌ってたんです。そうしたら、次の曲で辞めると決心していたときに、この曲が候補に入ってて。『私、この曲は大好きで歌詞を見なくても歌えます』と言ったのを覚えています。今までは言われた曲を歌っていましたが、『私はこの曲が歌いたいです』って、そのとき初めてディレクターさんに自分の意思を伝えました」
『まちぶせ』は’81年4月の発売後、じわじわと人気に火が付き、音楽番組『ザ・ベストテン』(TBS系)では9週連続ベストテン入りした。
昭和の歌番組は曲紹介が独特。司会者が歌手のプチ情報を入れてから曲名と名前を紹介するのが定番だった。たとえば『ザ・ベストテン』に出演したとき、司会の久米宏さんの曲紹介は「お母さんはひとみさんについてこうおっしゃっています。ひとみは小さいころ、ひどいブスでとっても心配していたんですが、最近テレビの中のひとみを見て『ああよかったなと』思っています。