「平和の尊さを訴えて」「夢に出てきて」三回忌追悼企画“いま寂聴さんに願うこと”
法衣ではなくて、派手な柄がプリントされたトレーナー姿で、ワイングラスをくるくると回す所作がすごくかっこよかったのが印象的です」
伊藤さんが新聞紙上で人生相談をしていることも、寂聴さんは自身との共通点と感じていたのかもしれない。
「寂庵で法話を見学していたら、寂聴先生が『今日はゲストがいます。人生相談がお上手なので、今日はこの人に任せます』って、いきなり登壇させられたこともありました(笑)」
思い出は尽きないが、なにより心を惹きつけられたのは寂聴さんが生み出す文学だ。2019年には、高橋源一郎氏、平野啓一郎氏、尾崎真理子氏らを招き「寂聴サミット」を企画したこともあったほど。
「『比叡』や『女人源氏物語』、70代でお書きになった『場所』など、素晴らしい作品ばかりです。ちょうどいまは先生が現代語訳した『源氏物語』を読んでいます。作品にふれることで、先生といっしょにいられます。ただ、ハグをしたときのぬくもりを感じることができないのは……、やっぱり寂しいですね。
まだ私の手に残る寂聴先生の感触が頼りです」
■「夢に出てきて、思いっきり私のグチを聞いて!」秘書・瀬尾まなほさん(35)
「瀬戸内先生の写真のそばに置いてある『日めくり暦』をめくって、お香を焚くことから、私の1日は始まります」