「父親のような存在」GACKTが涙ながらに語った緒形拳さんとの絆 毎年お墓参りで報告も
よろしくお願いします」と割って入った。しばらくの沈黙の後、拳さんはまた「おお、そうか…」と答え台本読みが進む。もう一度、初めから読み合わせが始まる。拳さんのカットしたセリフの前でまた「なぁ監督…。これは、なんでカットしたんだ…?」と無表情ながら強い語気で質問した。
すると、困った監督が「あの~、時間の都合で〜」と申し訳なさそうに言った。長い沈黙の後、「おお、そうか…」とまた再開する。その場にいた全員がこの凍りつく時間にドキドキしていた。
『何かが起きるぞ!』とボクだけがワクワクしていた。
台本の読み合わせが終わって全員が立とうとした時、拳さんが口を開いた。「監督…、セリフっていうのはな、役者の命だ。つまりオマエは…、時間の都合でオレの命を奪うのか…?」と。監督があたふたしながら「いえいえいえいえ!奪いません!」と支離滅裂なことを口走る。『この人、めちゃくちゃ面白い!』とボクは笑いを堪え肩を震わせていた。どこまでが本気で、どこまでが歌舞いているのか、誰にもわからない。
亡くなってから聞いた話だが、拳さんはこの大河ドラマに出る直前にガンの摘出手術をしていた。
退院もかなり早め、過酷な撮影に挑んでいた。