「父親のような存在」GACKTが涙ながらに語った緒形拳さんとの絆 毎年お墓参りで報告も
自分の感情はまったく関係なく、私情などはいらないと思っていた。その日、初めて持った感覚に驚いた。『ボクは拳さんに喜んでもらうためだけに演技をやってるんだ…』と。『たった一人に喜んでもらうために何かをすることが、これほど幸せなことだったんだ』と初めて気づかされた。それまで演技をするということに迷い道を見失いかけていたボクを、拳さんの優しい笑顔がいつも導いてくれていたことに気がついた。
撮影中盤に差し掛かった長野のロケに行った時のことだ。昼休憩に入り車内で休んでいた。拳さんがいきなり車のドアをパッと開けて、「おい、ガックン。
シイタケ食うか?」と言ってきた。カセットコンロの上で、フライパンでシイタケを焼いていた。「オレは弁当、食わないんだ。どんなことがあってもその場で火を通したものしか食わない。便利なものを口にすると早死にするぞ…」と言った。フライパンを囲み、ふたりで食べた。ボクはなぜ、その時にこんなことを言ったのかわからなかったが、拳さんに言った。「拳さん…、ボクの演技でこれは違うなと思うことがあったら必ず言ってくださいね…」と言うと、拳さんの動きが止まり顔が急に怖くなった。
こちらをずっと見ている。