GACKT 初自伝『自白』で明かしていた「急逝した元メンバーへの悔恨」
僕はまだ、大人になりきれていなかった。大人になるということは、たとえ、感情をむき出しにしてぶつかりあっても、そのあとで、相手を受け入れることができるかどうかだと思う。子供はぶつけるだけで終わり。そこで、関係は途切れてしまう。
でも大人であれば、感情の嵐が過ぎ去ったあとで、冷静に事態を見つめ、自分自身を客観視することで、相手を受け入れる態勢がとれるはずだ。
あのころの僕には、それができなかった。都合のいい解釈を見つけ、本気でぶつかり合うことをしなかった。そこに、相手に対する遠慮があった。
それ以前にも、イヤな予感は何回かあった。そのたびに、僕は、Kamiとの間に入っている人と連絡をとったが、とうとうKamiに直接、電話をすることはなかった。
互いに子供っぽい意地と遠慮で、僕らは電話ができなかったと、今では思う。
でも、もし、すぐに電話をしていたら……。もしかしたら、僕にも何かできたのではないだろうか。
すごくおこがましいかもしれない。もう、取り返しのつかないことだ。
でも、もし、あのとき、直接、話ができていたら……。
■僕が頑張ることが、彼の生きた証しになる。
その後、Kamiの実家に行ったんだ。