「年金モデル世帯」の見直しへ 実質66万円も減額…便乗「年金減額」に警戒を
「厚労省は『所得代替率』を年金支給の指標にしています。これは現役男子の平均手取り月給に対する、モデル世帯の年金額の割合。最新の財政検証(2019年)では、現役男子の平均手取り月給35万7千円に対して、モデル世帯の年金受給額は月22万円だったので、所得代替率は61.7%となりました」
本来、年金の受給額は、物価や賃金が上がれば、同じように増えていく仕組みになっていた。このことで、インフレから年金受給者の生活を守ってきたのだ。
しかし、少子高齢化による社会保障費の増大を受けて、20 04年に年金額の上昇を抑制する仕組みが作られた。「マクロ経済スライド」だ。
「物価や賃金が上昇しても、その上昇率から“スライド調整率”を引いた分しか、年金受給額が上がらないようになりました。しかも、賃金や物価が上がらず、調整率が引かれなかった場合、次年度以降に持ち越しされる“キャリーオーバー”という制度も、後に追加されたのです」(北村さん)
たとえば今年4月からの年金受給額は、物価や賃金の上昇をうけて、本来2.8%上昇するはずだったが、マクロ経済スライドの発動を受けて、2.2%の上昇に抑制された(67歳以下の場合)。