「年金モデル世帯」の見直しへ 実質66万円も減額…便乗「年金減額」に警戒を
スライド調整率0.3ポイントと、キャリーオーバー分の0.3ポイントを足した0.6ポイントが差し引かれたのだ。
「年金の額自体は増えますが、“価値”が目減りしていくことになります。しかし、これが続けば、年度を重ねるごとに、賃金や物価の上昇率と、年金額の上昇率の差が広がっていき、所得代替率は際限なく下がっていくことに。そこで、所得代替率は50%を下回らないようにすることが定められています」(北村さん)
「国民年金法等の一部を改正する法律」では、モデル世帯の定義とともに、《(所得代替率が)百分の五十を上回ることとなるような給付水準を将来にわたり確保するものとする》と明文化されている。
所得代替率50%の年金額は、2019年の賃金や物価の水準だと、月17万8500円となる。しかし、モデル世帯の見直しは現状の所得代替率“50%ルール”の変更につながる懸念がある。
経済評論家の加谷珪一さんは、こう語る。
「シングル世帯、共働き世帯、ひとり親世帯などさまざまなケースを想定することは歓迎すべきことです。
しかし、こうした議論をする際、新たな要素を加えたがる官僚はいるものです」
鹿児島大学教授で社会保障法が専門の伊藤周平さんも危惧する。