千葉県大量発生のキョン…「害獣=ジビエ」は日本の食料自給率アップの未来!?
農業では収穫前の稲穂が食べられるのはよくある話です」(山末さん、以下同)
国は、農林業被害を食い止めるためにシカやイノシシの捕獲報奨金を出しているが、捕獲の現場では問題点があるのだと、山末さんは話す。
「狩猟された動物は、山林に捨てられている場合が多いんです。たとえば農家さんが獣害にあっていて、猟友会に頼むと、猟師が捕獲してくれます。しかし、報奨金の証拠となる尻尾だけを切って持ち帰り、死骸は放置して行ってしまいます。すると放置された死骸にほかの鳥獣が群がり、結局そこにまた動物が集まるという悪循環に陥ってしまう。これでは、農家さんの被害は終わらないんです」
有害鳥獣の死骸を処理するのには、一般廃棄物業者で、扱える廃棄物の種類が「動物死体及び付随汚物」の許可を有している必要がある。またジビエ処理施設に持ち込まれた鳥獣の残滓は産業廃棄物となり、焼却や埋葬など、追いつかないのが現状だ。
そこで、山末さんの会社はもともと食肉加工業を営んでいたが、その捕獲された死骸が放置されないための対策を考えてきたのだという。
「それが、ジビエでした。大分県では捕獲したシカやイノシシの97%が廃棄されていましたが、狩猟された動物を人が食べる『おいしい肉』として加工することによって、命の循環、命のバトンになると気づいたのです」