「向こう三軒両隣」は私が守る!マンモス団地の女性自治会長の奮闘
「このままでいいのかと、ずっと思い続けていました。ちょうど子育ても一段落して、よし、中から変えていくために私が役員になろうと思い、54歳で自治会の区長に立候補して当選します。これが私の自治会役員デビューとなります」
早速、手をつけたのが会計だった。
「帳簿を見た瞬間、おかしいと思うことばかりでした。使途不明金はもちろん、明らかに偽造された領収書なども見つけたり。今までの担当者は変だと思いながらも、昔からの慣習で黙ってハンコを押していたんでしょうね」
なにやら最近も話題となっている政界のニュースを思い出させるが、その結末はまったく違う。
「でも、私は見逃せなかった。猛烈に抗議して、『これでは総会など開けません』と主張しました」
いわばパンドラの箱を開けてしまったわけだが、佐藤さんは、そのことで潰されはしなかった。
「そんな私の姿を、以前から『このままではいけない』と思っていた人たちが見ていたんですね。2年後に、周囲に押されるかたちで副会長に就任します」
そして翌1999年4月、推薦投票で会長に就任。大山団地で初の女性会長で、57歳のときだった。
「すぐに“向こう三軒両隣”の精神を提唱し、目指したのは、私たちが引っ越してきたときに味わった“お互いさま”のコミュニティ作りでした。