「20のうち19落ちた」“離婚のエキスパート”中里妃沙子さん 90年代に直面した“女性弁護士が就職する難しさ”【令和の寅子たち(1)】
“これからの時代、女性の法律家がもっと必要になってくる”と――」
そして東北大学法学部に入学。ところが、大学4年生になっても法律家になるつもりはなかった。
「大学4年の4月、周りから“せっかく法学部の学生になったんだから、1度ぐらい司法試験を受けてみたら?”と言われたので、5月の司法試験までの1カ月間だけ勉強して受けてみたんです。
もちろん落ちました。でも、こういうタイプの試験は私に合っている、得意な試験だと強烈に感じたんです。ちゃんと勉強をすれば絶対に受かる……。初めて司法試験を受けたときに、弁護士を目指そうと決めました」
だが、ここから司法試験合格までの長い道のりが始まる。
■2人の“変わり種”の恩師に導かれて――
当時の司法試験は、合格率が約2%という狭き門。
中里さんは、なんと12回目の挑戦でようやく合格したのだ。その後2年間、司法修習生として実務などを学び、あとは弁護士としての活躍の場を見つける段階となったのだが……。「1995年ごろは、女性の弁護士が就職するのが難しい時代で、20の法律事務所中19落ちました。ただ、運よく自分がいちばん入りたいと思っていた事務所が採用してくれました。