元日の地震で被災は3度目…輪島塗「藤八屋」を何度でも立ち上がらせる思い
彼女の話す「最初の被災」は結婚目前のことだった。
「前年の夏から新居を建て始めていたんです。その場所がここ、山本町なんですけど。棟上げを済ませたのがその年の暮れ。ところが、年が明けて1月、夫と打ち合わせをしていたところに、ご近所の方から電話が。『お宅が壊れてるよ』って。突風で、完成間近の家が倒壊してしまったんです」
数千万円を借金して建築費を工面していた。もう、予算はほとんど残っていなかった。
「銀行も追加融資はしてくれず、仕方なく内装や仕上げに使うはずだった資金でもう一度、家の外側だけを建て直して。だけど、新婚当初は寝るところもないありさまで。私たちは当初、物置部屋に布団を敷いて寝ていました。でも、それでは落ち着かないので、近くの市営住宅を借りて、5年間暮らしたんです」
新婚早々、経済的に大きな打撃を受けた2人。がむしゃらになって働き、抱えた借金をまもなく完済できると思った矢先に“2回目”の災難が訪れる。’07年3月25日に発生した大地震だ。
「日曜日でした。地震発生時、私はもう一つのお店のほうにいて、本店には、当時そこで寝起きしていた主人の母だけがいたんです」
震度6強の揺れが収まると、純永さんはすぐ、義母の元へ走った。