口癖は「国を守る、国民を守る」の海上自衛隊海将・近藤奈津枝さん 持ち歌は振り付けも完璧な『女々しくて』
と、激しく反対していた母親も、次第に理解を示し、逆に応援してくれるようになった。
近藤さんが振り返る。
「何がきっかけかはわかりませんが、誰にでも私のことを『世界に羽ばたく自慢のなっちゃん』と言うようになったのです。見ず知らずの人を『ちょっとあがりんさい』と家に招き、居間に飾ってあった制服姿の私と安倍(晋三)元首相の写真を見せて『これがうちのなっちゃん』と、自慢していたそうです。
あれだけ反対しておきながら“どの口が言うの?”とも思うのですが、誇りに思ってくれたことは正直うれしいですね」
その母は10年ほど前、がんでこの世を去った。当時の勤務地は長崎県佐世保市だったが、2週間に1度くらいのペースで山口県の病院に顔を見せに行った。
「でも鎮痛剤などで頭がぼうっとしていて、1日半ぐらい一緒にいても、私のことを理解できないことがありました。それでも『あなた、なっちゃんに似ているわね、なんてかわいいの!』って言ってくれたのですね。
あの一言は忘れられません」
意識が混濁していても、最後までなっちゃんのことを思っていたのだ。“自慢のなっちゃん”は、人望・判断力・想像力・統率力などが評価され、ついには海将へと昇任することに。