口癖は「国を守る、国民を守る」の海上自衛隊海将・近藤奈津枝さん 持ち歌は振り付けも完璧な『女々しくて』
「内示を受けたときも“なぜ、女性である私が”とは、まったく思いませんでした。女性というだけでそこまで卑下する必要はありません。どの組織においても、資質や能力、実績、貢献度、影響度などを評価されて地位が与えられるものであって、性別、国籍、民族などの属性で与えられるものではありません」
とキッパリと語った。近藤さんを補佐する青木邦夫幕僚長もこう話す。
「海将は海上自衛隊でトップの階級で、非常に重い責任を伴うからこそ、近藤総監が選ばれたのだと思います。海将の実力を持った人が“たまたま女性だった”ということです。
いっぽうでわれわれの組織は女性に活躍してもらえなければ、組織の存亡にかかわってきます。今回の人事は、キャリアを積んでいる女性自衛官のモチベーションを上げてくれたと思います。
さらに近藤総監は大湊地方総監部以外にもファンが多く、着任のときにはお祝いの花がずらりと並んでいました。あれほど多くの花は、見たことがありません」
昨年12月23日、大湊地方総監部の大講堂で行われた着任式は、厳粛な雰囲気に包まれていた。約200人もの隊員が整然と並ぶなか、その中央を胸にいくつもの勲章をつけた近藤さんが進み、隊員に向けて敬礼した。