国内初「第三者卵子で出産」の陰にあった”ある母親の闘い”
(岸本さん・以下同)
そのため、岸本さんの活動には「勇み足だ」「そこまでして子どもが欲しいのか」という批判もある。それを承知のうえで「法制化を待っていられない」と卵子提供を推し進めたのは、先述の1,000〜2,000人に1人の割合で発症するターナー症候群の娘の存在が大きかった。
「いつも“ターナー女性たちの母親”のような気持ちで活動しています。胎児がターナー症候群の場合、95%が流産します。だから、ターナーの娘がこの世に生を受けたのは、絶対に意味があり、私に使命が与えられたと考えたんです」
ターナー症候群は卵巣の機能障害が起きるため自分の卵子で妊娠する確率は1%しかない。だが、子宮はちゃんと機能しているため、健康な卵子提供が望めれば、子を持つ可能性を広げられる。‘12年、岸本さんは卵子提供を仲介する「OD-NET」を立ち上げる。
「アメリカで行われているような“ビジネス”にはしたくなかったので、弁護士や提携先の不妊クリニックと協議を重ねました。
ドナーさんにはボランティアでお願いし、仲介手数料もなし。