専門家が警鐘を鳴らす「“再稼働”で危ない全国の原発」後編
「原子力規制委員会の新規制基準が〝世界最高水準〟だなんてウソです。地震や津波の想定も、(前出の小野さんが指摘したように)試算が甘いうえに、ひとたび過酷事故が起きたら、結局、対策は“人”頼みなんです」
佐藤さんによると、3.11後、各電力会社は、地震・津波対策を強化してきた。しかし、ヨーロッパの対策に比べるとまだ甘い部分が多いという。
日本では、福島のような過酷事故に至った場合、現場の作業員が非常用電源車を動かしたり、ポンプをつないだりと、人が走り回って対応することになっているという。
「地震で道路が寸断されたり、原発構内で火災が発生したりして、人が動けなくなった場合、対処できません。現在の規制基準では、そうした複合災害が起きた場合の対処は示されていない。ヨーロッパでは、非常用電源や冷却装置をはじめとする安全を守る設備の中枢を耐震対策の完璧なビルに移して遠隔操作をできるようにするなど、過酷事故が起きないように二重三重の備えをしています」(佐藤さん)
それでも万が一、過酷事故に発展した場合は最終防護対策として、規制基準に避難計画作成を義務づけているという。