くらし情報『シリア人夫亡くした日本人学者が実行する、シリアのためにできること』

シリア人夫亡くした日本人学者が実行する、シリアのためにできること

山崎さんは、20年間もの間、シリア第二の都市であるアレッポに暮らし、多くの遺跡を発掘するとともに、シリア人の学芸員・ハミードさんと再婚し、’90年に日本から連れてきた幼子の子育てもするなど、イスラムの生活を肌身で体験してきた。それだけに、現在のシリアが置かれている状況に加え、この国が日本ではテロと結び付けられて語られることが悔しくてならないと嘆く。

いま、’12年2月に心不全で急死したハミードさんが眠るアレッポ郊外のビレラムーン村は、激しく破壊されたため誰も住んでいない−−。紛争が続き、そこで生まれ育った人も故郷を捨てざるをえないという悲惨な状況のなか、かつて傷心の自分を温かく受け入れ、子どもをたくましく成長させてくれたシリアの人々のために、日本にいる私に何ができるだろう。熟考した末にたどり着いたのが、シリア刺繍を使った女性たちとの協働作業だった。

「実は、まだ国も比較的穏やかで、あちこちに発掘に行っていたころ、主人が、村々の家の土壁に飾られていた刺繍を気に入って、収集していたんです」(山崎さん・以下同)

作り手となったのは、子どもや夫を紛争で亡くしたり、家族と離ればなれになる過酷な体験をした女性たち。

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