福島県・大熊町長の土地に「31億円の町役場」のあきれた復興計画(下)
一方、大熊町は人口千人で31億円。景気づけの代金としては、やはり高すぎると言わざるをえない。
長年、公共事業の見直しに取り組んできた法政大名誉教授で弁護士の五十嵐敬喜さんは、「そもそも、まだ原発事故も収束しておらず、放射線量も高い原発周辺に人を戻していいのか」と指摘したうえで、こう警鐘を鳴らす。
「いま、被災地には多額の復興予算がつぎ込まれていますが、それができるのも20年まで。その後は、わずかに戻った高齢者が住民の多くを占める自治体が箱モノの維持費を支払っていかなくてはなりません。資金繰りが立ち行かなくなり財政破綻する被災自治体も出てくるでしょう」
税金の使われ方がおかしい、と思っている町被災地の人がそれを批判しても、「復興に水を差す」と言われてしまう現状もあるという。
本当に必要な事業に税金を回すためにも日本中が関心を持ち続ける必要がある。
(取材・文/和田秀子)(上)に戻る